当ブログの中の人「えびふらい」はこのたび転職いたしました。
- 40代
- ふたりの子持ち
- ニッチなスキル(食品微生物の技術者)
- 管理職経験なし
という、一昔前の転職市場なら「無理」と言われた私。ですが、転職エージェントのおかげもあって転職することができました。
「みんなが転職すべき!」というわけではないですが、子育てしながらキャリアに悩む40代の方に、少しでもこの記事が参考になれば幸いです。
転職市場の実際のところ(2023年版)
転職活動を始めたきっかけ
転職活動のきっかけは「上司」「賃金」のどちらかか、もしくは「上司」「賃金」の両方か、なんて言われますが、私もそこは非常に大きかったです。
特に、例の流行病で会社が赤字転落し、収束が見えた後もまったく黒字復帰する見込みがなかったのが、決定打になりました。
まだまだ子育てのために仕事を頑張る必要があったのですが、会社とともにここで沈没するわけにはいかない、というのが転職活動のきっかけになりました。
かつては「35歳限界説」と言われたが…
「転職活動は35歳限界説」というのは、もはや過去のものになったと言えそうです。
いざ転職活動を始めてみたときに、「40代」「ニッチなスキル(食品微生物の技術者)」「管理職経験なし」というラベルは自分についてまわります。
自分にそもそもニーズがあるのか?というのは、不安としてありました。
確かにIT系転職と比べれば、私にマッチする求人は随分と少なかったです。それでも求人はあり、かつ複数社の内定をいただき、幸いにも「こちらが選ぶ立場」になりました。
異業種転職がキー
私の手持ちカードは「食品微生物の技術者」という非常にニッチなスキルだけ。もとの食品業界が一番マッチするスキルですが、業界にこだわると求人数も限られるのが実情でした。
そこで、転職エージェントさんのアドバイスで「建設業界」や「化学業界」にも広げて、転職活動を進めてみました。
実際転職を決めたのは「化学業界」。自分の技術のニーズがあるとも思わなかった業界ですが、企業と話を進める中で自分の技術がピンポイントでマッチしていることがわかり、最終的には化学会社に入社することになりました。
今いる業界にこだわらずに、「少し軸をずらす」というのが転職活動を順調に進める上でポイントなのかなと思いました。
また、薄利多売の食品業界と比較して、化学業界は全般的に待遇が良いのも印象として感じました。今の会社で待遇面に不満がある場合は、いっそ業界を変えてしまった方が有効だと思います。
「リモート面接」が転職のハードルを下げた
スキマ時間で転職活動できる「リモート面接」。これは確実に転職市場を変えたと思います。
私の応募した企業では、ほとんどの一次面接が「Zoom」などを使ったリモートで行われました。リアルの面接の場合、現地への行き帰り含めて2-3時間は見積もる必要がありますので、リモート面接は本当に助かりました。
企業側からしても、複数の拠点の従業員が面接に参加できるので、「会議室を準備する手間がない」「色々な目線で応募者を判断しやすい」といったメリットがあるように感じられました。
「転職先を決めてから」「退職」がいいわけ
リモート面接という追い風はあるものの、子持ちの転職活動は「時間もない」「スケジュール調整が大変」「家族の協力が必要」ということで、大変なことに変わりはありません。
そんな中で実際私が転職活動をしてみて思ったことは「転職先を決めてから退職」した方がいいということです。
出費が多い子育て世代にとって「退職して収入がない、かつ転職活動が長期化する」というのは、一番避けたいところです。
実は私の場合は、転職活動を本格的にスタートしてから転職するまで3年かかりました。私の年齢とスキルではどうしても応募できる案件が限られるため、数ヶ月案件が来るのを待ち続ける、と言ったこともザラにありました。
私が転職活動を3年も悠長に続けられたのは、ひとえに「現職にとどまりながら転職活動をしていた」からです。「会社がなくなった」「会社都合で退職になった」などの状況でない限りは、「転職先を決めてから退職」した方がいいと思います。
「職にとどまりながら転職活動をするのは、裏切っぽく感じて後ろめたい」と思う方もいるかもしれませんが、統計によると20~30代の3割は転職サイトを利用したことがある、とのデータもあります。自分が知らないだけで転職活動はかなり一般的になっていると言えそうです。
実際に転職活動をして感じたこと
時間がない。プロに任せても仕事と転職活動の両立はハード
リクルートエージェントのCMには「プロに任せたら、時間がなくても両立できる」とうたわれていますが、決してそんなことはないです。
職務経歴書の作成・ブラッシュアップ、企業研究、面接対策、実際の面接と、転職活動中にはいろいろと取り組まないといけないタスクが立て続けに発生します。
特に私は小さい子どもを抱えながらの転職活動だったので、普段の子育てで時間が足りないくらいなのに、転職活動の時間の捻出には、本当に苦労しました。
家族の協力だったり、一時的に趣味の時間を削ったり、といった何らかのバランス調整は必要かもしれません。
面接のスケジュール調整が難しい
多くの企業は土日休みなので、採用面接も平日に実施されることが多いです。一次面接はリモート面接が多いのですが、二次面接以降はリアル面接が多くなります。そうすると、スケジュール調整が大変でした。
特に、現在会社に勤めながら転職活動をしている方の場合、平日に休みをとって転職活動の面接に臨むことになります。なかなか平日休みが取りにくい職場の場合、現在の業務と併せた調整が必要になってきます。
「有給が取りにくいから転職したい」のに「転職活動をするための有給がとれない」という事態になりがち、というわけです。
「内定」を受けるかどうか決めるのにエネルギーを使う
「業務内容」「待遇」「勤務地」など全ての条件がバッチリな転職先があればいいのですが、最終的にはどこか条件が合わないところもある中から「総合的に」バランスをとって転職するかどうかを決めることになります。
そうすると、転職活動自体にリスクはなくても、転職自体には大きなリスクがあるわけで、転職するかどうか決めるのは非常に大きな決断になるわけです。
私はどちらかというと「なんとなく」転職活動を始めて、転職活動を進めるうちに転職しようという意欲が固まったものの、やはり最後の最後で内定をもらった先に「転職する」と決断するのには、非常にエネルギーを使いました。
子育て中の方は、普段からエネルギーを消耗しがちかもしれませんが、忙しい中でバタバタと決断しないよう、最後の判断のためのエネルギーはとっておいた方がいいです。
家族の同意と、スケジュール調整
子育て中の方の場合、転職について家族との同意や、スケジュール調整が必要です。私の場合は子どもが小さく、かつ妻が専業主婦で、転職についても理解してくれていたものの、それでもスケジュール調整には苦労しました。
地味なところでは、転職に伴って所属する健康保険組合が変更になり、一時的に手元に健康保険証がない状態になりました。その時に子どもが病気になってしまい、病院の手続きに一苦労、後日診察費が健保健保組合から清算になるため、一時的に出費が増えてしまう、なんてこともありました。
さらに、私の場合には転居を伴う転職だったので、引越し手続きや準備で家族にはかなり負担をかけました。
私の場合はもともと転職に同意してくれていたので、それでもスムーズに進んだ方だと思いますが、家族が転職に対して理解してくれていない場合は、さらに大変になるかと思います。
私は転職活動の進捗具合を逐次妻と共有できていたので、なんとかなったかなと思っています。しかし、選考途中で見送りになってしまったケースも多々ある中で、「また見送りになってしまった」という情報も共有し続けるというのは、個人的にはちょっとしんどかったです。
結果的には「エージェントサービス」が良かった
転職活動には、ざっくり「自分で応募する」のと「企業やエージェントから紹介を受ける」の2パターンがあります。
「自分で応募する」「企業から紹介を受ける」案件の場合、そもそも条件がイマイチだったり、条件が良くても全然先行に進めない、ということが多く、私はあまり利用してはいませんでした。
私がメインにしていたのは「転職エージェントから紹介を受ける」案件です。
無料で対応してくれる
転職エージェントは、書類の確認からスケジュール調整、転職活動そのものへの相談まで、いろいろなサービスをしてくれますが、多くの場合無料でサービスを受けることができます。
転職エージェントの費用は、採用活動を行う企業が負担することになるので、応募者の方は金銭的な負担はない、ということです。
私は転職活動が3年間と長期にわたったものの、転職エージェント自体にお金は払っていないので、金銭的な負担はそこまでありませんでした。
何より「エージェントサービスを利用できるだけの、財務的な体力がある企業」を紹介してくれるので、エージェント案件の方が比較的良い求人案件が多かったです。
給与交渉・スケジュール調整してくれる、が過度に期待しない
転職エージェントは、相手企業と給与交渉を行なってくれたり、面接日程などのスケジュール調整を行なってくれます。「採用活動中に給与面の話は言い出しにくい」「外せない予定があるけど、日程調整を申し出にくい」なんてことも転職エージェントが代わりにやってくれるわけです。
が、給与交渉は「一応やってくれる」程度で、私が体験した中では実際に交渉して給与が上がることはありませんでした。
また、スケジュール調整についても基本的には企業が提示した日程を応募者が受ける形になります。相談して日程を調整というよりは「この日でなんとかなりませんか」と言われるケースがほとんどと思っておいた方が良さそうです。
アフターフォローも丁寧
転職エージェントさんの報酬は、応募者が実際に企業に採用されて、「定着」してから支払われるようで、入社手続きから入社後のアフターフォローも、転職エージェントでやってくれます。
なので「内定を承諾したから、はいさようなら」というわけではないんですね。この辺りは、安心できました。
エージェントの当たり外れがある
ここまで、転職エージェントはとても助かる、と書いてきましたが、転職エージェントも人である以上、どうしても相性や「当たり外れ」はあります。
私はどうも「グイグイゴリゴリ」してくるエージェントは苦手でした。確かに転職エージェントサービスは基本的に無料で受けられますが、エージェント側からすれば内定を獲得しない限りはタダでサービスを提供しているようなものです。「グイグイゴリゴリ」してくるのも、ある意味致し方ないのかなとも思います。
あとは「条件と見合わなくても、なんとか妥協させよう」という意図がありありと見えるエージェントもいました。
この辺りは完全に愛称になってしまうので、人によりけりという面もあります。しかし、当たりハズレをなるべくなくすには「案件ごとの担当エージェント」がつく転職サイトがいいのかなと思いました。
転職サイトには「応募者ごとに担当エージェントがつく」パターンと、「案件ごとに担当エージェントがつく」パターン、もしくはその両方のパターンがあります。
「応募者ごとに担当エージェントがつく」場合、複数の選考に自分の担当者が関わってれるので、複数の選考の兼ね合いについてうまいこと調整してくれる…、わけでもないのです。面接スケジュールのダブルブッキングがないように「自分で」気をつけないといけませんし、何より自分の担当のエージェントと「あわないな…」と思っても、変更手続きが大変だったり、必ずしも変更できるとは限らないからです。
その点、「案件ごとに担当エージェントがつく」パターンの場合、「あわないな…」と思ってもその案件が終わればその担当の方とも終わりになるので、私としては気が楽に転職活動を進めることができました。
転職サイトをホンネで比較
私は結局「JACリクルートメント」で紹介された企業に入社したのですが、それまでいくつかの転職サイトを使用してきました。
それぞれのサービスについて、私の個人的見解をまとめてみました。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、私を担当してくれたエージェントさんがとにかく厳しかったです。
とにかくスグにレスポンスを要求してきたり、職務経歴書を書いてみたら「こんなのでいいと思っているんですか!」ばりに差し戻しを受けたり、面接対策でも「もっと志望動機を広い視野で、かつ深掘りしてください」など、正直本業よりも厳しかったです。
おかげで自分の職務経歴書はだいぶブラッシュアップされましたし、面接でちょっと変わったことを聞かれても対応できるようにはなったものの、自分自身だいぶ消耗しました。
消耗しても内定が取れれば良かったのですが、とにかくリクルートエージェントの案件は書類すら通過することが少なく、面接に進めたのもごくわずかでした。
正直担当になったエージェントさんがハズレだったのかもしれませんが、本業で消耗して転職活動しているのに、転職活動でも消耗してしまったら、本末転倒の感もあったので、リクルートエージェントは途中で退会しました。
リクルートダイレクトスカウト・ビズリーチ
続いて使用してみたのが、「リクルートダイレクトスカウト」「ビズリーチ」です。エージェントさんでちょっと痛い目にあったこともあり、次に「スカウト型」のサービスを利用してみることにしたのです。
目に見えてわかるスキルならともかく、私がウリにしていたのはかなり専門的なスキルだったので、とにかくまずスカウトが来なかったです。来たとしても「誰にでも送っているんじゃないか」みたいなスカウトばかりで、結局どの案件にも申し込むことはありませんでした。
「ヘッドハンターがレジュメをしっかり読み込んでくれる」ことも、「あんな企業からこんなオファー」も、全然なかったので、このサービスは諦めることにしました。
「データサイエンティスト」など、誰の目から見ても明らかにすごいスキルでもない限り、スカウト型サービスは難しいのかなと思いましたね。
DODA
続いて利用したのが、DODAです。DODAの担当エージェントさんは非常に親身になってくれて、対応も丁寧でした。
あんなに厳しく言われたリクルートエージェントで全然書類通過しなかったのに、DODAのエージェントさんはバシバシ書類を通過させてくれたので、一時期面接日程の調整がメチャクチャ大変になったほどでした。
結局内定を辞退したものの、初めて転職活動で内定をいただけたのも、DODAで紹介してくれた案件でした。
ただ、確かに転職活動は進んだDODAですが、求人の質がはっきり言って高くないという印象がありました。私が内定を辞退したのも、処遇面でどうしても折り合いがつかなかったからです。
逆にいうと、「転職活動する前に、仕事を辞めてしまった」方にとって、DODAは強い味方になってくれる可能性があります。
JACリクルートメント
転職活動を始めてから最初に登録したのも、結局内定を承諾した企業を紹介してくれたのも、「JACリクルートメント」でした。
JACリクルートメントも「エージェント型」の転職サービスになるのですが、リクルートエージェントやDODAのように転職希望者に対して専任担当者がつかない、というのが特徴です。
逆に企業ごとに専任担当者がついて、毎回違う担当者が別の企業の案件を紹介してくれる、という形式になっています。
私も複数の担当者さんにお世話になりましたが、「正直このエージェントさんは合わないな」と思っても別の担当者さんが別の案件を紹介してくれるので、気持ちを切り替えて転職活動に臨むことができました。
正直JACリクルートメントの中でも「ううん」という対応のエージェントさんもいましたが、実際内定をいただいた企業の担当者さんは非常に親身になって対応していただいていました。
ただ、そんなJACリクルートメントも「募集案件が少ない」というのは、気になる人には気になるポイントかなと思います。案件がない時には、3ヶ月くらいは一件も紹介がないこともありました。
その分、紹介してくれる案件はほとんどがキャリアアップを前提としたもので、非常に魅力的なものが多かったです。JACリクルートメントは「長期戦覚悟で、キャリアアップを目指したい」という方にピッタリのサービスかと思いました。
内定が出たらやること
私は結局2社から内定をもらって、うち1社はおことわりをした上で、現在の会社へ入社しました。
決断は早期に求められる
採用したい企業サイドからすれば1日でも早く入社して欲しいところなので、内定を受諾するかどうかは2社とも早期に求められました。おおむね1週間も時間をもらえなかったと思います。
複数社の転職活動を並行していた場合には、「内定を受諾する」「まだ決まっていない他企業の選考に挑む」を選ぶシーンもあるでしょう。
内定を辞退しても、他企業の選考に落ちて、一社も内定がない状態になってしまう、ということもあり得るわけです。
そうするとやはり「転職先を決めてから」「退職」というのが、落ち着いて転職活動の判断をできる方法かなと思います。
内定承諾時に、多数の書類を求められることも
内定辞退をした会社からは、内定を承諾する場合は
- 大学院の成績証明書
- 健康診断書
それぞれを1週間以内に入手するよう案内されていました。大学は遠方にあったので成績証明書の入手は時間がかかりそうでした。在職中に転職活動していたので、平日に健康診断の日程を急遽工面するのも一苦労。
結局は内定を辞退したのでどちらの書類も必要ありませんでしたが、内定した会社次第では書類の準備に大慌てすることになっていたかもしれません。
内定を受諾した後も、想像以上に忙しい可能性があります。
ちなみに、私が内定を承諾した企業は、成績証明書の提出も必要なければ、健康診断は内定先の企業でやってくれました。必要書類については、本当に企業によってケースバイケースのようです。
絶対に転職した方がいいとは言わないが、私はして良かった
今回転職をしてみて、一社でずっと過ごすだけでは決して得られない「社会経験」ができました。そして、万が一会社に何かあっても、なんとかなるかもしれない、という気持ちにもなることができました。
また、40代のニッチスキルの私が転職できたような時代になっています。企業は中堅~ベテラン層の人材流出対策を真剣に考えた方がいいと思います。
万人が絶対に転職した方がいい、とは思いませんが、少しでも迷っている方は選択肢に入れてみるのも十分アリかなと思います。
